中学受験をする場合、実は住んでいる地域によって、いろいろな違いが出てくることはご存じでしょうか?
東大を目指す例では、東京住まいの場合は、進学実績の高い国公立校が何校もあるため、中学受験後教育費を抑えながら最高峰の大学を目指すことができます。
しかし、神奈川住まいの場合は、進学実績の高い国公立校は現状あるとは言い難いため、東大を目指す場合は名門私立校への進学が必要となり、高校卒業まで毎年100万円程度の教育費が必要になります。
このように中学受験には、住んでいる地域などの要因でそれぞれ異なった制限の下でしかできないといったことがあります。
そのため、安易に中学受験で国公立校を目指してもらおうと考えていると、いざ大学受験の最高峰を目指そうと将来の目処が立ってきたとしても、進学実績のある国公立校があなたの地域には存在しないということも十分あり得ます。
お子さんの学力が申し分なくても、教育費がネックとなり、学費の安い少し偏差値の低い国公立校へ入学せざるを得ないという状況になることもあります。
そうならないために、中学受験をする前にまずはあなたにどのような制限がかかるのかを理解することは重要です。
今回は、教育費の違いや東京・神奈川での中学受験をさらに掘り下げて考えてみたいと思います。
【教育費を比較】中学受験には850万円は必須⁉
中学受験をする場合、大学進学を前提に考えればどんなに安くても小学4年生から大学4年生までの13年間で850万円はかかります。
そして、最も教育費がパター必要となるパターンでは1,400万円が必要になります。
それではパターン別にそれぞれ詳しく解説していきます。
中学受験で私立から公立大学を狙う場合
中学受験と聞くと私は私立中学への進学をまず考えてしまい、恐らく同じように考えている方は少なくないと思います。
そして、私立中学から私立高校を経て、晴れて国公立大学に入学した場合、小学校からの大学卒業までの13年間の教育費はトータルで1,200万円ほどかかります。
これはもっとも一般的な高校受験組(公立中学・高校/私立大学)と比べて、トータルで300万円も教育費が必要という結果になります。
学年別の年間学費では、中学受験私立組は入学金の納付が必要な中学1年・高校1年時に高額な教育費が必要となります。
一般的な高校受験組と比べてもかなり早い段階から多額の教育費が必要となり、小学4年~中学1年で既に200万円以上の差がつくことがわかります。
何が言いたいかというと中学受験で私立中学に入学する場合は、一般的な高校受験組と比べて中学1年までに支払った学費200万円の差が、例え国公立大学に進んだとしても最後まで埋まらないということです。
中学受験で私立から私立大学を狙う場合
1番教育費が必要となる中学受験で中学・高校・大学オール私立のパターンの場合は、13年間のトータルで1,400万円は必要になります。
また、下図で高校3年までは青線、大学1年以降はオレンジ線となり、年間平均で13年間毎年100万円を超える教育費が必要となります。
高校受験私立大学進学組と比べるとトータルでなんと500万も差が発生することがわかります。
そのため、中学受験で私立中高校に入学する場合は、これだけ学費としてかかる場合があることを十分に理解しておく必要があるということです。
中学受験で公立から公立大学を狙う場合
中学受験で中学・高校・大学とオール国公立へ進むパターンの場合は、トータルで850万円程度の教育費が必要となります。
これは一般的な高校受験組(中高公立・大学私立)とほとんど教育費は変わらない結果です。
今は中高一貫の公立校も増えてきており、中学受験するならここを狙いたいところです。
小学6年生までの教育費が高いのはデメリットですが、それ以降は教育費を抑えられるので割と生計もも立てやすいと思います。
中学受験で公立から私立大学を狙う場合
中学受験で公立の中高一貫校に進学し私立大学に進学するパターンの場合は、小学6年までの3年間と大学1年以降の4年間が1番費用がかかり、そのときの教育費は年間100万円程必要となります。
しかし、中学1年から高校3年までは国公立の教育費となるので真ん中6年間の教育費としてはかなり抑えることができます。
13年間のトータルとしては、教育費は1,100万必要となります。
中学・高校の6年間の教育費を抑えることができる点から、こちらのパターンも割と生計が立てやすいのではないかと思います。
有名国公立大学を目指す場合の東京と神奈川を比較
東京の場合は、私立・国公立ともに高い大学実績を誇る学校がいくつもあるので選択肢には困りません。
一方、神奈川の場合は、大学進学実績を重視するなら私立へ進む以外に道が残されていないかもしれません。有名国立大学を目指すのであれば尚更です。
それでは、詳しく見ていきましょう。
東京の場合
東京には、東大を多く輩出する筑波大学附属駒場中学を筆頭に筑波大学附属中学や東京都立小石川中等教育学校、東京都立武蔵野高等学校附属中学など多くの有名校があります。
そのため、絶対に東大や一橋を狙うと決めている場合は、筑波大学附属の2校を目指し、そうでない場合でも東大も数名輩出しているような偏差値の高い中高一貫校を目指せてどちらの選択肢もあるのが東京の魅力です。
そういった意味では、東京での中学受験では私立同様、国公立中学も充実しており、どちらの中学も目指しやすい環境があります。
神奈川の場合
神奈川には、東京のように東大進学者を多く輩出するような国公立中学がありません。
そのため、偏差値最上位の国公立中高一貫校としては、横浜市立横浜サイエンスフロンティア中学や横浜市立南高等学校附属中学あたりが狙い目となります。
しかし東京の筑駒のように東大進学者を多く輩出するような中学ではないため、絶対に東大と決めている場合は、神奈川では聖光学院中学や栄光学園中学といった名門私立を目指す必要があります。
神奈川での中学受験では、東大クラスのトップ国公立狙いならどうしても私立中への進学を考えなければならないと思います。
そのため、教育費は13年間で1,100万円以上はデフォルトで必要であると言えます。
神奈川の公立トップ国公立中学と言えども、大学入試実績は早慶MARCHあたりの大学進学が1番多くなっております。
おすすめ中学受験パターン
私が考えるおすすめ中学受験のパターンは国公立中高一貫校狙いです。
まずは、大前提として大学進学実績のある有名校とさせていだきます。
なぜ、中学受験で国公立中高一貫校なのかというと、まずは国公立中高一貫校は中学・高校と教育費が安いというのは言うまでもないと思います。
そしてもう1つのメリットとして、有名大学進学実績が高いということは、同じように目標を高いところに設定する仲間が多いということです。
公立中学では十人十色でそうはいきません。
私は環境次第で勉強のやる気も変わると考えておりますので、同じ公立中学・高校なら進学実績が高い中学受験で進学できる方を選びたいです。
それから大学まですべて国公立というオール国公立パターンも見えてくると思いますし、大学は仮に私立になったとしても、有名校に行ける確率は一般的な高校受験組と比べてもかなり高いです。
経済的な話をしても、中学・高校と教育費は抑えられる分、比較的生計が立てやすいというのもメリットです。
例え大学が私立になったとしても、その頃には管理職に昇進し所得水準が上がっていることが考えられますしね。
そして、大学はエスカレーターではなく、しっかりと受験をさせることができるのもメリットです。
これも大人になるかならないかぐらいの時期にもう1度受験という苦しいものを乗り越えてもらいたいからです。
大学受験の経験は大人になってからも絶対に活きてきますし、大学自体も楽に単位を取ることができるため、本当に学びたい学問に集中することができるのです。
教育費・大学生活・就職後の人生、3つの観点どれをとっても1番のおすすめです。
おすすめしない中学受験パターン
私が考えるおすすめしない中学受験パターンは私立中高一貫校の大学エスカレーター入学狙いになります。
13年間のトータルで1番教育費が必要というのもデメリットですが、そこは親だけの話。
それよりももっと問題点があります。
これは実体験なのですが、私が通っていたMARCHレベルの私立大学では、エスカレーター式で入学してきた仲間は非常に多かったのです。
そして、その中の半数ほどは留年や中退していたことを記憶しています。
エスカレーター組は大学受験をしていないため、一握りの優秀な生徒を除いて大学側が求める学力に届かず、入学後かなり苦労していました。
私が入学してすぐ感じたのは、エスカレーター組はサークルだとか遊びだとかにすごく力を入れているということ。
そして、どうにかなるという甘い考えなのか大学にいがずにバイトばっかりという人もおりました。
似たようなパターンで指定校推薦組は、学校の勉強はそれなりにやってきているため、若干の苦労はするものの要所はしっかり抑え、普通に卒業していました。
私自身も勉強したかと聞かれるとそんなにしている方ではありませんが、大学受験で入学した私にとっては大学4年間の勉強はほとんど苦労しませんでした。
大学受験をしていれば大学の勉強はこれまでの復習といった感じで、特に英語は得意でない私でさえ大学受験の知識だけですべての単位が取れたぐらいです。
ところが、エスカレーター組は単位を取るだけでも一苦労といった感じで、それこそ本当に学びたい学問なんてやっている暇はなかったと思います。
この体験から私は大学受験は必ずするべきだと思っています。
何度も言いますが、大学受験で苦労したことは就職やその後の生活にも絶対に活きてきます。
人間的な成長も大学受験には必ずあると信じています。
もちろん、とても優秀な一部の方はエスカレーターでも卒業・就職・その後の生活に至るまでとても順風満帆にきています。
ですが、人間弱いものですから甘えてしまう人は本当に多いです。
そのため、有名私立大学にそのまま入学できるような中高一貫校はおすすめしません。
特にMARCHクラス以下は。
就職の観点から考えても、いくら有名大学の生徒でも就職先の企業だってエスカレーターかぐらいは見ています。
そんなに甘くないのです。
仮に学歴フィルターというものがあって、それに引っかからなくても結局1次面接で本当に優秀な一部を除いて落とされます。
有名大学に入ることが就職につながるという時代は終わりました。
大学で何をしたか、そして大学に入学したプロセスまで求められるのが今の時代だと思います。
そのため、中学受験の私立中学・高校・大学のエスカレーター方式はおすすめできません。
まとめ
東京・神奈川どちらで中学受験を行ったとしても、国公立中学へ進めば教育費は抑えられます。
ですが、東大や一橋などトップ校を国公立中高一貫校から狙おうとした場合は、東京では高い進学実績を誇る国公立中学校はいくつも存在します。
一方、神奈川では東京ほど実績のある国公立中高一貫校は存在しません。
そのため、神奈川で東大や一橋などのトップ校を狙うなら中学受験では私立中学を狙うことになります。
東京と神奈川比較するとトップ校と言われる大学に入学させるためには、神奈川の方が教育費が200万円以上も多く必要になる可能性が高いと言えるでしょう。
神奈川で中学受験をする場合は、1,100万円の教育費は最低でも用意する必要があり、東京で中学受験する場合は、意外と一般的な高校受験組と同じ850万円程度の教育費でトップ校を狙うチャンスがあるということです。
このように外的要因による教育費の違いが発生することがありますので、一旦身の回りの状況を確認ししっかりと計画を立てて中学受験に進むか高校受験に進むか考えてみましょう。
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